親知らずを抜いた話|48歳、骨が一番硬い年齢だと言われながら

その後の健康管理

歯医者を変えたことが、すべての始まりでした。

家の近くに、優しそうな歯医者さんを見つけて

通い始めたところ、レントゲンを撮って驚きの一言。

「下の親知らずが横向きに生えていて、

太い血管に刺さりそうな位置にあります。

抜いた方がいいですよ」

痛みもなかったので、

まったく気にしていませんでした。

それどころか、私に親知らずがあったなんて初耳です。

でも、血管に刺さりそうと言われたら話は別です。

そのとき頭に浮かんだのが、

乳がんの入院前にお世話になった口腔外科の先生でした。

癖は強めだけれど、腕は確かだろうと思い、

再び扉を叩くことにしました。

この先生との出会いは乳がんの手術前でした。


受付から洗礼を受ける

診察前に、受付でこう言われました。

「48歳というのは、

骨が一番硬くなる年齢で、

抜くのがとても大変なんです。

特に下の親知らずは難しい。それでもやりますか?」

やりますか、と言われても困ります。

かかりつけの歯医者には「抜かないと危ない」

と言われてきたのです。

頭の中が混乱しながら、診察室へ向かいました。


診察室でもいつも通り

例によって、口の中を押されてまた激痛です。

「姿勢が悪いから痛いんダヨ。

髄液がちゃんと流れないから体が不調になるの。

頭痛とか、不眠とか、全部姿勢が悪いせいなの。

このまま放っておいたら、あなた必ずうつ病になるよ。

スマホを寝ながら見るのは1秒でも禁止」

わたしゃ、脅されているんか。

「手術の日までに、

お風呂でマッサージを自分でやること。

ちゃんとやれば抜歯の痛みも無くなるから」

相変わらずの先生でした。

でも言われた通りに姿勢を正すと、

確かに調子が良いような気がしてきます。

癖は強いけれど、言っていることは正しいかもしれない。

そういう先生です。


手術当日

日帰りか1日入院か選べると言われ、

念のため1日入院を選びました。

腕に麻酔の点滴を刺されたとき、

恐怖で頭が真っ白になりました。

手術が始まると、

ゴリッという音と振動が響きます。

親知らずと骨の境目を砕いていくそうで、

確かに硬い。

「骨が一番硬い年齢」というのはこういうことか、

と妙に納得しました。でも麻酔のおかげで、痛みはほとんどありません。

長く感じた時間がようやく終わり、先生から一言。

「ちゃんと取れたか確認したいから、

レントゲンに今から行ってきて」

まじかよって思いながら、

言われるままに、レントゲン室へ歩いて行きました。


血だらけで歩いていた

無事に親知らずが取れていることを確認し、

病室に戻りました。

口の中が気になって洗面台に立ったとき、

鏡を見て固まりました。

口の周りが、血だらけでした。

さっきまでその顔で、

廊下を歩いてレントゲン室まで行っていたのです。

すれ違った人たちはどう思っただろう、

と思ったら笑いが止まりませんでした。


手術より術後が大変だった

夕方、食事が出ました。

内容は、シュウマイをミキサーにかけたようなものと、

きゅうりをすりおろしてサラダにしたようなもの、

そして牛乳。

味は美味しかったのです。

食べたかった。

でも、痛くてとてもそれどころではなく、

半分も食べられませんでした。

翌日、看護師さんに案の定怒られました。

「ちゃんと噛んで食べないと、

歯茎がくっつかなくて治りが悪くなります。

歯茎を見ればわかるんですよ」

歯茎を見たらバレるとは知りませんでした。

さらに追い打ちをかけるように言われました。

「このままだと、

食べカスが詰まって1ヶ月後に高熱が出ます。

そうなったら点滴になりますよ」

そう言われても、

常にロキソニンを飲んでいないと

痛くて喋ることもままならない状態です。

どうしろというのか。

姿勢を良くする努力はしたけれど、痛みはひどかった。


退院後も地獄は続く

会社に戻っても、

電話を取るたびに言葉が上手く出てきません。

お客様には事情を説明しながら、なんとか乗り切りました。

毎食後、抜いた箇所にご飯粒が詰まるので、

毛先の細い柔らかい歯ブラシで丁寧に取り除く日々。

食事はほぼおかゆでした。

それでも、高熱は出ませんでした。

1ヶ月間、痛みと格闘しながら過ごしましたが、

今はもう完全に落ち着いています。

抜かずに放置していたら、

もっと大変なことになっていたはずです。

実はあの時、先生がおっしゃっていたのが、

あと半年で定年だということ。

今は完全に綺麗に治った奥歯の部分を思うと、

先生には感謝しかありません。

もうお会いできないと思うと寂しいです。

でもあんなに痛いことされるのはもう懲り懲りかもしれません。笑


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