病気になると、避けて通れないのがお金の問題です。
乳がんを告知されたとき、もちろん病気のことは怖かったです。
5年生存率は?
これからどんな治療をするの?
抗がん剤ってどれくらいつらい?
ネットで、それはもう調べまくりました。
でも、検索していたのは病気のことだけではありません。
治療費はいくらかかる?
仕事を休んだらどうなる?
何か使える制度はない?
高額療養費制度、傷病手当金、医療費控除……。
病気になって初めて、お金に関する制度についても必死で調べることになりました。
告知後、家族より先に電話したのは保険屋さん
乳がんを告知されて、私が真っ先にしたことのひとつ。
家族への連絡……より先に、
保険屋さんに電話しました。
あたぼうよ。
これから治療にいくらかかるのか分からないんですもの。
私は24歳のときに生命保険と医療保険に入り、それからずっと保険料を払い続けていました。
医療保険は5年ごとに5万円を受け取れるタイプで、がんなど特定の病気になった場合には、その後の保険料の払い込みが免除になるものでした。
少しでも治療費の足しになればいい。
それに、保険料の払い込みが免除になるなら、早く手続きをしておきたい。
そんな気持ちでした。
とはいえ、保険を実際に使うのは人生で初めてです。
当時は、
「もしかして、今まで払った保険料より、もらえる保険金のほうが多かったりして?」
なんてことも考えていました。
今思えば、保険ド素人丸出しです。
ところが、あとになって今まで払ってきた保険料をざっくり計算してみると、
払った保険料 > 受け取った保険金
あれ?
元が取れてないやん。
これ、結構ショックでした。
もちろん、だから保険が無駄だったという話ではありません。
実際に病気になったとき、「保険がある」と思えたことは心強かったです。
ただ、実際に治療を経験してみて、民間の医療保険以上に、
「こんな制度があるんだ!」
と驚いたものがありました。
一番驚いたのが高額療養費制度
乳がんになってから、使える制度についてもネットで調べまくりました。
傷病手当金については、なんとなく存在を知っていました。
でも、高額療養費制度については、病気になるまでほとんど意識したことがありませんでした。
医療費が高額になった場合、年齢や所得などに応じて、1か月の自己負担に上限が設けられている。
それを知ったときは、本当に驚きました。
これから手術も入院もある。
その後には抗がん剤などの治療も待っている。
一体いくら必要になるんだろう。
そんな不安があった私には、とてもありがたい制度でした。
早速、会社の総務に連絡しました
高額療養費制度を知った私は、早速会社の総務の子に連絡しました。
こういうところの行動は早いのです。
当時加入していた協会けんぽで手続きをしてもらい、受け取ったのが**「限度額適用認定証」**でした。
名前はすっかり忘れていましたが、白い紙だったことはよく覚えています。
毎月初め、保険証を病院の受付へ出すときに、その白い紙も一緒に提出していました。
これによって、窓口で支払う保険診療分を自己負担限度額までに抑えることができました。
一番大きな支払いになったのは、やはり手術と入院だったと思います。
ただ、正確な金額はもう覚えていません。
保険金をいくら受け取ったのかも覚えていません。
治療から8年以上が経ち、その間には引っ越しもしました。
病院の領収書も、それはもうすごい枚数でした。
今では全部処分してしまいました。
なぜか、
「保険料の元は取れてなかった」
ということだけは覚えているんですけどね。
人間、妙なところだけ覚えているものです。
高額療養費制度についての注意
ここまで書いた「限度額適用認定証を用意して、病院の受付に提出する」という方法は、私が乳がん治療を受けていた当時の体験です。
現在は、マイナ保険証を利用できる医療機関等では、原則として限度額適用認定証を事前に申請しなくても、窓口で自己負担限度額を超える支払いを抑えられる仕組みがあります。
ただし、年齢や所得区分、加入している健康保険、医療機関の対応状況などによって、手続きや取り扱いが異なる場合があります。
また、高額療養費制度の対象になるのは保険適用となる医療費で、入院時の食事代や差額ベッド代など、対象にならない費用もあります。
制度や自己負担限度額は変更されることがあります。実際に利用するときは、加入している健康保険や厚生労働省などで最新情報をご確認ください。
今ならマイナ保険証は便利だと思う
私が治療していた頃は、
「今月もあの白い紙を出さなくちゃ」
と、保険証と限度額適用認定証をセットで受付へ出していました。
今はマイナ保険証を利用することで、対応している医療機関では限度額情報を確認してもらえるようになっています。
これは、病院にかかる機会が多い人には便利だろうなと思います。
マイナンバーカードについてはいろいろな考え方がありますし、「絶対に持ったほうがいい」と押しつけるつもりはありません。
ただ、病気になると診察、検査、薬、治療……と、ただでさえやることが増えます。
私自身の経験からすると、
手続きがひとつでも減るのはありがたい。
そう思います。
高額療養費制度があっても、お金は出ていく
高額療養費制度は、本当にありがたい制度でした。
でも、
高額療養費制度がある=治療にお金がかからない
ではありません。
手術と入院が終われば、それですべて終了ではありませんでした。
その後も診察があり、検査があり、治療が続きます。
そして、病院に支払うお金以外にも必要なものがありました。
そのひとつが、抗がん剤治療で髪が抜けたときに使った医療用ウィッグです。
私が治療を受けていた当時は、自分で購入しました。
ところが数年後、自治体によっては医療用ウィッグなどの購入費を助成する制度ができていることを知りました。
「私のときにもあったら、ありがたかったなあ」
と思ったものです。
でも同時に、
制度って変わっていくんだな
とも思いました。
私が治療していたときにはなかった制度が、数年後にはできている。
だからこそ、昔聞いた情報だけで判断せず、
「今の私が使える制度は何かないかな?」
と、その都度調べてみることが大切なんだと思います。
ウィッグなどの助成制度について
医療用ウィッグや乳房補正具などについては、自治体によって購入費の助成制度が設けられている場合があります。
すべての自治体で同じ制度が利用できるわけではなく、対象者、対象となる品目、助成額、申請期限、必要書類なども異なります。
制度が新設・変更・終了する可能性もありますので、利用を検討する場合は、お住まいの自治体などで最新情報をご確認ください。
医療費控除にも期待したけれど……
治療費をかなり支払ったのだから、医療費控除を使えば少しはお金が戻ってくるんじゃない?
そう思って、確定申告もしました。
正直、ちょっと期待していました。
ところが。
実際に戻ってきた金額は、たしか数千円程度。
……え、こんだけ?
これが当時の正直な感想です。
でも、医療費控除は「支払った医療費のうち、一定額を超えた分がそのまま返ってくる」という制度ではありません。
医療費控除の対象となる金額は、原則として、その年に実際に支払った医療費から保険金や高額療養費などで補填された金額を差し引き、さらに10万円(総所得金額等が200万円未満の場合は総所得金額等の5%)を差し引いて計算します。
その金額が所得から控除される仕組みです。
当時の私はそこまで理解していなかったので、
「これだけ病院に払ったんだから、結構戻ってくるんじゃない?」
と思っていたんですよね。
医療費控除についての注意
「数千円程度だった」というのは、あくまで私自身の当時の体験です。
実際の控除額や還付される税額は、その年の所得、支払った医療費、保険金などで補填された金額、その他の所得控除などによって異なります。
また、医療費控除の対象になる費用・ならない費用にも条件があります。
実際に申告する際は、国税庁などの最新情報をご確認ください。
病気になったときこそ、制度にもアンテナを
乳がんを告知された頃の私は、ネットで本当にいろいろなことを調べました。
5年生存率。
治療法。
抗がん剤の副作用。
でも、それだけではありません。
高額療養費制度。
傷病手当金。
医療費控除。
告知されたら病気のことだけを考えている、なんてことはありません。
現実には、生活があります。
治療もしなくちゃいけない。
仕事のことも考えなくちゃいけない。
そして、お金のことも考えなくちゃいけない。
高額療養費制度があったからといって、お金の心配が全部なくなったわけではありません。
それでも、知らなかった制度を見つけて、実際に利用できたことは大きな助けになりました。
そして私が治療していた頃にはなかったウィッグの助成制度が、その後できた地域もあります。
制度は変わっていきます。
だから、全部覚えておく必要なんてないと思います。
ただ、
「今の私が使える制度、何かないかな?」
と、ちょっとアンテナを張っておく。
分からなければ、病院の相談窓口や加入している健康保険、自治体などに聞いてみる。
病気について調べるのと同じくらい、生活を守るための制度について調べることも大切なんだと、私は乳がんになって初めて知りました。
使える制度には、しっかり頼る。
そのためにも、
アンテナ、大事です。


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