乳がん全摘から8年|感覚が鈍いのに痒い・痛い。今も残る地味な不便を正直に書いてみた

乳がん

乳がんで左胸を全摘してから、8年が経ちました。

腕は上がるし、普通に仕事もする。
買い物にも行くし、重たい荷物だって少しくらいなら持ちます。

外から見れば、たぶん普通です。

でも、手術する前とまったく同じ体に戻ったのかと聞かれたら、答えは「いいえ」です。

感覚が鈍いのに、痒い。
掻いても、痒いところに届いた感じがしない。
何もしていないのに、突然「痛っ」となる。
ブラで締め付けられると、脇の下あたりが腫れぼったく感じることもある。

どれも生活できないほどではありません。

でも、地味にある。

8年たった今だからこそ書ける、私の体に残っている「ちょっとした不便」を、正直に書いてみようと思います。

ないのに「ある」。術後の入院中に感じた不思議な感覚

左胸を全摘した直後、一番不思議だったのがこれでした。

胸はもうありません。

目で見れば分かります。
左側は平らになっていて、手術したことは自分でも分かっている。

なのに、胸がまだそこにあるような感覚がありました。

特に強かったのは、術後の入院中です。

起きて何かしているときより、ベッドでくつろいでいるときのほうが、その感覚は強くありました。

「ないのに、ある」

目で見ている現実と、体から伝わってくる感覚が一致しない。

当時は「どういうこと?」と混乱したし、少し怖かったです。

あとになって、乳房を切除したあとにも、なくなった乳房がまだあるように感じる「ファントム乳房」と呼ばれる感覚があることを知りました。

術後しばらくはかなりリアルだったこの感覚も、時間がたつにつれて少しずつなくなりました。

8年たった今は、もう感じていません。

感覚が鈍いのに、痒い。そして痛い

左胸を全摘したあと、脇の下より少し下に、皮膚が余っているように感じる部分があります。

そこは触った感覚がかなり鈍いのに、ときどき痒くなります。

痒いから、とりあえず掻いてみます。

ところが、なんか違うんです。

普通なら痒いところを掻くと、少し痛いような、それでも「そこそこ!」という感覚がありますよね。

それがない。

掻いているのに、痒いところまで届いていないような感じ。

掴みたいものが、どうしても掴めないような感じです。

そして最後には、

「ああ、掻かなきゃよかった……」

となります。

痒いのに、掻いてもスッキリしない。

しかも不思議なことに、そのあたりは触った感覚が鈍いのに、何もしていないとき突然「痛っ」となることもあります。

触った感覚は鈍い。でも、痒いし、痛い。

8年たった今でも、自分の体なのに不思議です。

左の脇から二の腕あたりは、今も絶好調ではない

左の脇から二の腕あたりも、手術前と同じというわけではありません。

なんとなく、もったりする。
ときどき腫れぼったく感じる。

ブラで締め付けられていると、

「なんか腫れぼったいな」
「ちょっと熱を持っている感じがするな」

と思うこともあります。

ただ、何かをしたから必ず調子が悪くなる、というわけでもないんです。

何もしていなくても突然痛むこともあれば、重たいものを少し持っても平気なこともあります。

分かりやすいようで、分かりにくい。

これも8年間付き合ってきた、私の左側の感覚です。

リンパ浮腫は怖い。でも、左腕を使わずに暮らしているわけではない

リンパ浮腫のことは、今でも気になります。

だからといって、左腕をまったく使わない生活をしているわけではありません。

買い物に行けば荷物を持ちます。

帰り道に数分くらい重たいものを持つこともあります。

「左腕では絶対に重いものを持たない」

という生活ではありません。

今のところ、少し重たいものを持ったことで明らかに調子が悪くなった、と感じたこともありません。

だから私は、必要以上に怖がって左腕を使わないというより、無理をしすぎないように気をつけながら普通に使っています。

ただし、これはあくまで私の場合です。

リンパ浮腫の起こり方や体の状態は人によって違うので、「重たいものを持っても大丈夫」という意味ではありません。

私は今も、左腕や脇の状態には気を配りながら生活しています。

リンパ浮腫の症状や日常生活で気をつけることについては、国立がん研究センター「がん情報サービス」でも詳しく紹介されています。
→ リンパ浮腫について詳しく見る

8年たっても、体のことをまったく考えなくなったわけではない

こうして書いてみると、

「けっこう色々あるな」

と思います。

でも、毎日これらのことを考えながら深刻な顔をして暮らしているわけではありません。

仕事もするし、ご飯も食べる。
買い物にも行く。
楽しいこともする。

その中に、ときどき、

「痒い」
「なんか腫れぼったい」
「痛っ」

が混ざってくる。

そんな感じです。

手術から8年たって、乳がんは私の生活のすべてではなくなりました。

でも、体には今も手術したあとの感覚が残っています。

「元気に生活できる」と、
「手術前とまったく同じ」は、
私の中では別の話です。

同じ全摘でも、感じ方はきっと人それぞれ

乳がんの手術後に残る感覚は、人によって違うと思います。

痛みが強く残る人もいれば、あまり感じない人もいる。
痺れや突っ張りが気になる人もいれば、私とはまったく違う感覚の人もいるでしょう。

だから、この記事に書いたことが「全摘したらこうなる」という話ではありません。

これは、

「乳がんで左胸を全摘した私が、8年後に感じていること」

です。

感覚が鈍いのに、痒い。
掻いても届かない。
なのに、ときどき痛い。

そんなちょっと不思議で、ちょっと不便な体とも、もう8年の付き合いになりました。

困っていないと言えば、困っていない。

でも、不便がないと言えば、それも違う。

普通に暮らしながら、ときどき「ああ、ここは手術したんだったな」と思う。

それが今の私です。

これからも必要なことには気をつけながら、あとは普通に暮らしていこうと思っています。

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