乳腺外来で手術の日程が決まったその日
主治医からいきなり言われました。
「口腔外科の予約を取っておきましたので
行ってきてください」
突然のことで、頭にはてなマークが浮かびました。
さらに続けてこう言われました。
「いい先生なんですけど
乳腺の患者さんにはあまり評判が良くないんですよね」
???
評判が良くない先生のところに行かせるとはどういうこと?
疑問を抱えたまま、口腔外科の扉を開けました。
なるほど、これは確かに癖が強い
先生を見て、思わず納得しました。
ダンディで素敵な見た目の先生なのですが、ロン毛です。
年齢的には、60前くらいか
いかにも、癖は強そうです。
まず「口を開けてみて」と言われ、アーンと開けると、一言。
「小さいなあ」
確かに私は口が小さい方です。
だから開けにくいのかもしれないと言ってみたら
即座にピシャリと返ってきました。
「それは関係ナイ」
あ、そうですか。
前歯が折れた患者さんもいる
気を取り直していると、先生が続けます。
「全身麻酔の手術中は、気管に管を入れるんだけど、
口が開かないと管を通しにくくて、
前歯を折ってしまう患者さんもいるんだよ。
今日から1週間、口を開ける練習をしておいてネ」
前歯が折れる、という予想外のワードに少しひるみながら
言われた通り再度アーンと口を開けました。
すると、手袋をはめた指が口の中へ。
下の歯茎と唇の境界線あたりを、ぐいっと押されました。
んぐぐ!!
心の準備が全くできていないところへの激痛で
頭の中がパニックになりました。
「姿勢が悪いと痛くなるんだよ。
姿勢を良くして、このマッサージをお風呂のときに
自分で10分くらい毎日やっておいてネ」
思わぬ宿題まで出てきました。
そして入院当日も
「入院当日もまた来てね」と言われ、気が重いまま帰宅しました。
当日も、例によって激痛に耐え、
口を開ける練習をして、
最後に受付の看護師さんにひとつ言いつけられました。
「術後、初めて何か口にする前に、
必ずうがいさせてくださいと看護師さんに伝えてください。
口の中の雑菌はとにかく多いですから」
なぜ乳腺の患者に評判が悪いのか
主治医に言われた「乳腺の患者さんには評判が良くない」
という言葉の意味が、ようやくわかりました。
口の中を押されてあんなに痛いなんて、
誰も想像しません。
私も完全に油断していました。
びっくりして騒ぐ患者さんが多いのかもしれません。
先生の癖が強めだったという可能性も、
否定はできませんが。
ちなみにこの先生、
後日親知らずを抜くときにもお世話になることになります。
それはまた別の話。

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