※この記事は、乳がん治療を続けている私自身の体験を書いたものです。
薬の効果や副作用の現れ方には個人差があります。治療や薬について気になることがある場合は、自己判断で中止や変更をせず、主治医に相談してください。
乳がんの治療で、私は長い間トレミフェンを服用しています。
トレミフェンを飲み始める前、私のAST・ALTはどちらも15前後でした。
ところが服用を続けているうちに、少しずつ数値が上がり始めました。
最初は40くらい。
その後も血液検査をするたびに、じわじわと上がっていきました。
私は病院でもらう血液検査の結果を、毎回見るようにしています。
基準値に入っているかだけではなく、
「前回の自分と比べてどうだったか」
も見るようにしています。
せっかく印刷して渡してもらえるんですから、見ないともったいないですしね(笑)
腫瘍マーカーも同じです。
もちろん自分で病気を判断することはできませんが、長く治療を続けているからこそ、自分の数値の変化は知っておきたいと思っています。
AST・ALTがじわじわ上がっていった
AST・ALTが40くらいになった頃から、私は少し心配になっていました。
主治医にも聞いてみました。
そのとき先生からは、100くらいまでいくとさすがに良くない、という話を聞いた記憶があります。
それでも数値は少しずつ上がっていきました。
そして数年かけて、とうとう100前後に。
「先生が言っていたところまで来ちゃった……」
かなりショックでした。
主治医から「トレミフェンが原因です」と言われたことは一度もありません。
原因は分からない。
それでも当時の私は、
「トレミフェンのせいなんじゃないの?」
と思っていました。
食生活を大きく変えた覚えもない。
お酒もほとんど飲まない。
薬を飲み始める前は15前後だった数値が、服用を続けている間に少しずつ上がってきた。
当時の私には、薬以外の原因が思い浮かびませんでした。
今振り返れば、原因が分かっていないのにトレミフェンのせいだと決めつけていた部分もあったと思います。
でも、そのときは本当にそう思っていたんです。
今度は消化器内科へ
AST・ALTが100前後になったことで、消化器内科も受診することになりました。
そのとき最初に思ったのは、
「また診察が増えちゃった。ちぇっ」
でした。
乳がんになってから、何度病院に通ったことか。
治療が少し落ち着いてきたと思ったら、今度は肝臓です。
もちろん肝臓の異常を放っておくわけにはいきません。
診てもらわなければいけないことも分かっています。
でも、正直うんざりしていました。
結局、私の場合は「これが原因です」とはっきり分かったわけではありませんでした。
血液検査などを見ながら経過を診てもらい、グリチロンとウルソデオキシコール酸を処方されました。
当時の私は、それにも少しイライラしていました。
「原因が分からないのに、また薬を飲むの?」
乳がんの再発を防ぐために薬を飲んでいるのに、その途中で別の身体の心配が出て、さらに薬が増える。
納得できない気持ちがありました。
「何のために治療しているんだろう」
肝機能の数値が悪くなったとき、私が一番怖かったのは、
「乳がんを治療するために薬を飲んでいるのに、今度は肝臓の大きな病気になったらどうするの?」
ということでした。
乳がんの再発はもちろん怖い。
だから治療は続けたい。
でも、その治療を続けながら別の病気の心配までしなくてはいけない。
当時の私は、そのことにかなり怒っていました。
「再発のリスクを減らすために、別のリスクまで心配しなくちゃいけないの?」
「私は何のために毎朝薬を飲んでいるんだろう」
本気でそう思っていました。
今なら、トレミフェンが肝機能悪化の原因だったと私には断定できないことが分かります。
でも、あのとき感じた怖さや怒りまで間違いだったとは思いません。
それくらい、数値が上がっていくことが怖かったんです。
アナストロゾールに変更。すると数値が下がった
その後、私は閉経したと判断され、トレミフェンからアナストロゾールへ薬が変更になりました。
そして数か月後。
AST・ALTの数値が下がってきました。
30を下回るくらいまで改善したときは、心の中でガッツポーズです。
「やっぱりトレミフェンだったんじゃないの?」
当時の私は、ますますそう思いました。
もちろん、薬を変更したあとに肝機能の数値が改善したことは、私自身に起きた経過です。
でも、それだけでトレミフェンが原因だったと断定することはできません。
そして、この話には続きがありました。
5年ぶりの出血。「何これ?」
ある日、下着を見ると赤いものがついていました。
一瞬、頭が止まりました。
私はすでに5年ほど生理がありませんでした。
だから最初は、生理だなんて思いもしませんでした。
「何これ?」
「今度は婦人科系の病気なの?」
乳がんを経験してから、身体に何か異変があると「また別の病気だったらどうしよう」と考えるようになっていました。
だから、とても怖かったです。
ところが、そのうち出血量がどんどん増えてきました。
しまってあった生理用ナプキンを慌てて出してきても、何度も交換するほど。
「これ、もう生理じゃん!」
でも、閉経したと思っていたのに、どうして今さら?
頭の中はパニックでした。
しかも出血は一度だけではなく、その後も約3か月続きました。
私は血液検査の結果も毎回見ていました。
まだ基準値の範囲だったと思いますが、赤血球の数が以前の自分と比べて段階的に減っていることにも気づきました。
「このまま出血が続いたら、貧血になるんじゃない?」
そんな心配まで出てきました。
そして再びトレミフェンへ
次の診察で先生に出血のことを報告しました。
そこで、生理が再開している状態ではアナストロゾールではなく、再びトレミフェンを使うことになりました。
せっかく肝機能の数値が下がったのに。
またトレミフェン……。
そのときのガッカリ感といったら。
「ああ、また肝機能の心配をしなくちゃいけないのか」
そんな気持ちでした。
長く治療を続けるというのは、病気そのものだけではなく、薬や身体の変化と付き合っていくことでもあるんだなと思いました。
でも今、私の考えは少し変わりました
ここまでなら、
「やっぱりトレミフェンが原因だったんじゃない?」
という話に見えるかもしれません。
でも、今の私はそう言い切れません。
なぜなら現在も、私はトレミフェンを飲んでいるからです。
それでも最近のAST・ALTは25前後のこともあり、以前のような100前後という状態ではありません。
そして今年の1月頃から、血糖値のことも気になって運動を始めました。
運動を続けるようになってから、肝機能の数値も以前より安定してきたように感じています。
もちろん、
「運動したから肝機能が良くなった」
と私には断定できません。
でも、自分の身体を振り返ってみると、昔の私は原因を一つに絞って考えすぎていたのかもしれないと思うようになりました。
身体って、そんなに単純じゃないんですね。
食生活、運動、年齢、薬、体質。
いろいろなものが関係しながら変化していくのかもしれません。
長い治療の途中で、今思うこと
当時の私は、トレミフェンを早くやめたいと何度も思っていました。
肝機能の数値を見るたびに不安になり、原因が分からないことにもイライラしていました。
でも、あれから時間が経ちました。
今も治療を続けながら、私は元気に生活しています。
そして、自分にできることとして運動も続けています。
運動を始めた理由は血糖値への心配でした。
でも続けてみると、身体のためにコツコツ積み重ねることの大切さを、改めて感じるようになりました。
血液検査の数字を見ることも同じです。
一回の数字だけで一喜一憂するのではなく、以前の自分と比べながら経過を見ていく。
気になることがあれば先生に聞く。
そして、自分でできることは続けてみる。
長く治療を続けてきた今の私は、そんなふうに考えています。
あの頃の私には、
「トレミフェンのせいに決まってる!」
くらいの勢いがありました。
今なら、もう少し違う見方ができます。
原因は、結局私には分かりません。
分からないことは、分からないままでいい。
ただ、
数値が上がって怖かったこと。
治療を続けることに腹が立ったこと。
突然の出血に慌てたこと。
そして今、同じ薬を飲みながら数値が安定していること。
これは全部、私自身が経験してきたことです。
だから私は、これからも治療のことは主治医と相談しながら、自分の身体の変化にも目を向けていこうと思っています。
そして運動も。
無理のない範囲で、これからもコツコツ続けていきます。

コメント