抗がん剤3クール目。
体が限界と言っていたのかな
3クール目ともなると、抗がん剤治療を始めてから一か月半以上が経っていました。
幸い、私は白血球の数が大きく減ることもなく、治療は予定通り進んでいました。
その点では安心していたと思います。
でも、検査の数字とは別に、私自身が感じる体のしんどさは、回を重ねるごとに強くなっていました。
2クール目に入った頃から、なんとなく感じていたこと。
抗がん剤を入れると、一週間くらい辛い。
ただの疲れとは違います。
眠れば回復するというものでもなく、目の前が暗くなりかけるような妙な感覚が続く。
体の芯が抜けていくような、説明できないだるさ。
呼吸もしんどくて、深く息を吸わないと意識が飛んでしまいそうに感じる時もありました。
すぐにでも横になりたい。
しかも、それが回を重ねるごとに酷くなっているように感じました。
でも、不思議とご飯は食べられました(笑)。
私はもともと、体調を崩しても食欲がなくなることが少ない人です。
だから食べられるからといって、体が元気だったわけではありません。
体の中では抗がん剤の治療が続いている。
しんどい時には、ちゃんと休まなければいけなかったのだと思います。
それでも私は、通院の日以外は仕事を休みませんでした。
今思えば、よく頑張ったなと思います。
きっとずっと気持ちが張り詰めたままで、「休む」という選択肢が頭になかったのでしょう。
そんな3クール目。
今度は、体の表面にも気になる症状が出てきました。
梅雨の時期だったからなのか。
ウィッグの中が蒸れたからなのか。
それとも抗がん剤によるものだったのか。
今となっては、はっきりした原因は分かりません。
ただ、頭皮がとても痒くなりました。
脱毛の次に、体の表面に現れた症状として強く記憶に残っています。
仕事中にも痒くなり、こっそりトイレに行ってはウィッグを外して頭を掻いていました。
そして3クール目から数日後の、ある日の夜。
とうとう痒みも我慢の限界。
夜間でしたが病院へ電話をすると、来院するように言われたので、そのまま病院へ向かいました。
その時に処方されたのは、確かリンデロンというステロイドの塗り薬と、アレグラと同じ成分だと説明された飲み薬だったと記憶しています。
アレグラは、アレルギー症状を抑えるために使われる薬です。
「これも抗がん剤治療中に出てきた症状のひとつなのかな」
そんなふうに思ったことを覚えています。
そして、その夜。
今でも心に残っていることがあります。
看護師さんが言ってくれました。
「誰もいないから、ウィッグ脱いでも大丈夫よ。痒みが強いでしょう?」
何気ない、ほわっとする言葉でした。
でも、そのひと言で、ずっと張り詰めていた気持ちがふっと軽くなりました。
「ありがとうございます」
そう言ってウィッグを脱ぎました。
窓ガラスに映った自分の頭は、やっぱりカッコ悪かったけれど。
それでも少しだけ、ほっとしました。
3クール目まで来た。
これを乗り越えたら、抗がん剤はあと一回。
もちろん、治療そのもののゴールではありません。
それでも、
あと一回。
そう考えたら、もう少し頑張ろうと思えました。
治療そのものを誰かに代わってもらうことはできません。
しんどいのも、怖いのも、自分の体で乗り越えていかなければならない。
でも、そんな時にそっと寄り添ってくれる人のひと言で、張り詰めていた気持ちが軽くなることがあります。
あの夜の看護師さんの優しい言葉を、私は今でも覚えています。
辛い辛い治療も、一人じゃないから。
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