8年も経てば、主治医との関係性も柔らかくなりますよ

乳がん治療から8年

初めて乳腺外来の扉を叩いた日。

健康診断でマンモグラフィがC判定となり、

再検査を受けました。

その時は両方の胸に石灰化があり、

「もう少し様子を見ましょう」と言われ、

そのまま経過観察になりました。

それから1年以上が経ち、

再び同じ乳腺外来の扉を叩く日がやってきました。

数か月前から両方の乳頭から分泌物が出るようになり、

特に左胸の乳首が下がって形も変わっていました。

「これは、もう放っておいたら絶対に後悔する。」

そんな気持ちで病院へ向かったことを覚えています。

当時の主治医は50代前半くらいのベテランの先生でした。

「経験豊富な先生で良かった。」

そう思う一方で、患者さんが本当に多く、

毎日とても忙しそうでした。

診察はテキパキと進み、

聞きたいことがあっても、

なかなか質問できる雰囲気ではありませんでした。

そんな頃、乳がんが見つかる前の健康診断で、

「肝臓に嚢胞があります」と書かれていたことを思い出しました。

気になってMRIを撮っていただいたところ、先生は一言、

「問題なさそうですね。」

とおっしゃいました。

それだけ聞けば安心するはずなのに、私は安心できませんでした。

「乳がんと言われた私が、本当に問題ないの?」

「肝臓にも関係しているんじゃないの?」

頭では「関係ありません」と言われていることを

理解していても、心は納得できませんでした。

あの頃は、どんな小さなことでも

乳がんと結び付けて考えてしまい、

悪い方向へ想像することが当たり前になっていたのです。

私はセカンドオピニオンを受けませんでした。

理由は、この先生以上に

乳腺を専門として診てくださる先生を、

自分では思いつかなかったからです。

それでも心のどこかでは、

「この先生を信じて大丈夫なのかな。」

そんな気持ちを抱えながら通院していました。

今思えば、先生が悪かったわけではありません。

私に余裕がなかったのです。

治療のこと、副作用のこと、再発への不安。

頭の中はいつも乳がんでいっぱいでした。

それから8年以上が経ちました。

今では診察室に入ると、机の上に購買で買ったのであろう

パンやおにぎりが並んでいることがあります。

時計を見ると、午後3時。

「先生、まだお昼ご飯食べてないんですね。」

そう声を掛けると、

「大丈夫。このあと食べるよ。」

先生はいつものように穏やかに答えてくださいます。

以前の私なら、そんなことに気付く余裕すらありませんでした。

でも今は、「先生も毎日忙しいんだな」

と自然に思えるようになりました。

先日は先生が笑いながら、

「本当はこうしてあげたいんだけど、看護師さんに怒られちゃうからね。」

と話してくださいました。

思わず二人で笑ってしまいました。

先生も病院という大きな組織の中で、

いろいろなルールを守りながら、

一人ひとりの患者さんと向き合っているのだと感じました。

病院では、先生も看護師さんも毎日とても忙しそうです。

次から次へと患者さんが来て、その一人ひとりに向き合い続ける。

その姿を見るたびに、「本当に大変なお仕事なんだな」と思います。

だから私は、診察が終わるたびに思うのです。

「先生、ありがとう。」

「看護師さんも、いつもありがとうございます。」

気が付けば、もう8年以上のお付き合いになりました。

顔なじみの看護師さんと何気ない会話をする時間も、

今では楽しみの一つです。

乳がんになったばかりの頃の私は、

先生と雑談する日が来るなんて想像もしていませんでした。

でも、人との信頼関係は、一回の診察で生まれるものではありません。

時間を重ねることで、少しずつ育っていくものなのだと、

今は感じています。

もし今、乳がんと診断されて、

不安で先生にもなかなか質問できない方がいたら、お伝えしたいです。

焦らなくても大丈夫。

今は緊張していて当然です。

少しずつ通院を重ねるうちに、先生との関係も、

きっと今より柔らかくなっていく日が来ます。

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